写真とか音楽とか、自転車をはじめモノの話をしてみたり。
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その年の春のはじめには強い風が吹き、これを春一番と云うそうだが、ここではもう春何番だろうかと思える程いつも風が吹いている。
そもそももう五月なのだ。初春などとっくに過ぎただろうに、と富樫啓は昼飯を食べようと学生食堂に赴きながらそんなことを考えていた。 総合大学の宿命だろうか、昼ご飯時にはどうしても学内に人が溢れ帰っている。富樫は人ごみを避けながら行き交う人々を見て、この一人一人が代謝だけで一日一五〇〇キロカロリーものエネルギーを消費していると考えるとまぁよくそれだけのエネルギー源が大学にはあるものだ、一年で広島型原爆いくつ分ぐらいになるのだろうかなどと考えていた。 もうお分かりの通り、富樫啓は普通とはちょっと違った青年である。この人ごみのなかそんな事を考えているのは彼だけだろし、普通の大学生にとっての関心事は今日の昼ご飯だとか、あのアーティストの新しいアルバムだとか、昨日のお笑い番組のなかで誰がおもしろかったかなどだが、彼にとってはそんな事よりも、2日前のニュースのテクノロジー欄で見つけた新しい強強度プラスティックのほうがよほど面白いものに映るらしい。 学食に入ったところで、富樫は人の多さに心底圧倒されてしまい、踵を返して学内のコンビニに向う事にした。 「そもそも昼休みが同じ時間だからこんな事になるんだ。学部で15分程差をつけるなりすればよほど 混雑も解消するのに。全く理論的じゃない。」 コンビニで無事300円の弁当を手に入れ、ベンチに腰かけた彼は「全生徒が一年間に代謝するエネルギーの総和の広島型原爆換算」を始めた。 PR |
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